
景色とは決して孤立した存在ではなく、ある風景を構成する要素間の関係性を前提としているものです。そのため、日本庭園の水辺には、必ずそれを引き立てるための植栽が添えられています。水景を魅力的にに見せるためにも、植栽を丁寧に手入れすることは欠かせません。無鄰菴には、このような「景色」がたくさんありますが、今回は庭園の東南側に植えられているオカメザサのあるエリアに注目してみましょう。
明治・大正時代に撮られた、以下の写真を見ると、無鄰菴の作庭時からササ類が植えられていたことが確認できます。山の中の渓流を感じさせたいという施主、山縣有朋の思いが良く伝わる写真だといえるでしょう。

現在も、ここにオカメザサが植えられています。毎年夏には、成長し切った後のオカメザサを剪定しています。そうすることで、作業は一回で済みます。また、このみずみずしい景色を一年中、お客様に楽しんでいただくことができます。茂りを抑えつつ、全体の輪郭をすっきりさせることが一番のポイントとなります。「はみ出しているものを全部剪定して、間隔と高さを均等にして、古い株を新しい株と入れ替えることで、景色として良い形に整っていく」と担当庭師の出口健太さんは説明します。
全体としての景色を大事にするために、注意深くオカメザサを一本ずつ剪定することが必要です。下の写真で見られるように、なるべくオカメザサに近い姿勢で、作業に目を凝らす庭師の姿が印象的です。


この手入れを着々と進めることにより、たった30分で、オカメザサの輪郭が大分すっきりしてきました。ビフォーアフターの写真を見てみましょう。




今回は30分の時間経過を写真に撮影してみましたが、実際にはこの作業は30分で完成するのではなく、まる一日かかるそうです。それだけ注意力が必要となる作業です。
最後にこのエリアの景色が、仕上がった様子を確認しましょう。

次に無鄰菴に来られた際に、山縣の時代から庭師による育成管理によって、ずっと引き継がれてきた景色に、ぜひご注目ください。
登録する
お出かけに役立つお庭の最新情報、イベント情報、庭師のコラムなど、お届け!特別イベントにもご招待。