無鄰菴に「フォスタリング・フェローズ」というボランティア制度があるのをご存じですか。
「フォスタリング(Fostering)」とは、英語で「はぐくむ」という意味。「フェロー(Fellow)」は「仲間」です。
無鄰菴にはミッションがあります。それは、無鄰菴を通じて日本庭園の価値を広く伝え、保存と活用の最適なバランスを見出した運営をすること。
そのためには、一般のお客様だけではなく、無鄰菴と深く関わり、よりよい活用を管理事務所とともに考え発信していく仲間が必要だと無鄰菴では考えました。
そこで創設されたのが、フォスタリング・フェローズの制度です。
フォスタリング・フェローズはただのボランティアではなく「提案型ボランティア」。管理事務所からお仕事をお願いするだけではなく、「あんなことがしたい」「もっとこうしたほうがいい」という、無鄰菴をよりよくするための要望や提案を出していただきます。
これまでにフェローさんからの要望で実現した例のひとつは、10分の無料ガイドの担当。「ガイドをしたい」とのフェローさんの声から、ガイド研修を設けました。
研修に合格されたフェローさんにはスタッフに混じって、10分ガイドを担当していただいています。
そのような提案型ボランティアとして活動していただくためには、無鄰菴の基礎的な知識が必要です。
フェローに登録すると、まず1月~3月に歴史的背景や名勝指定の理由などを知る基礎研修が行われます。
そして4月から①ガイドチーム、②イベントチーム、③オペレーションチームのうち、お好きなチームに参加。
2、3か月に1回のフェロー研修で知識を深めながら、イベントサポートをしたり、カフェをはじめとした日々の業務に関わったり、所属チームごとの活動に加わります。
メンバーは現在60名弱。男女問わず学生さんからシニアまで、全国から集まったさまざまな方がそれぞれのペースで活躍中です。
そのフォスタリング・フェローズのフェロー研修が、夏のような陽が照りつける6月の日曜日に行われました。今回の研修前半は、無鄰菴の管理運営を担っている植彌加藤造園の「知財企画部」について知る講座。
講師は同部署のマイケル・シャピロです。
知財企画部では、植彌加藤造園が関わる無鄰菴を始めとした日本庭園の広報や、知的財産として残すためのアーカイブ化、さらなる価値を見出すための研究などを行っています。
そこでのマイケルの仕事は英語での対応全般。海外の方々へ無鄰菴の魅力や職人の仕事を伝えたり、日本庭園の英語文献を研究することで日本の庭園学に貢献するなど、日本人ではないからこそ持てる視点や方法で無鄰菴や庭園文化を支える仕事をしています。
フェローさんたちからは、これまでの活動から生まれた意見が投げかけられ、充実した研修となりました。
後半はお庭に出て野鳥観察。鳴き声、飛ぶ影、羽の色などで、一瞬で鳥の種類を識別する無鄰菴スタッフ・平野の導きで、フェローさんたちの感度も向上。
次々に鳥を見つけては質問が飛び交い、あっという間に1時間がすぎました。
現在は募集を停止しているフォスタリング・フェローズですが、ご興味を持たれた方はぜひ、ホームページをチェックの上、次回募集をお楽しみに。
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