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第18回日中韓国際ランドスケープ専門家会議 見学会

2023年11月10日(金)午後、第18回日中韓国際ランドスケープ専門家会議の見学会で26名のお客様が無鄰菴へお越しになりました。
日中韓国際ランドスケープ専門家会議とは、日本造園学会、中国風景園林学会、韓国造景学会の専門家が集う会議で、各国持ち回りで2年おきに開催されています。今回は「アジアから発信する次世代のランドスケープ-伝統と革新」というテーマのもと、11月10日から12日にかけて京都で行われました。

無鄰菴での見学会では、庭園の歴史的背景や見所だけでなく、中国・韓国の方へ日本の庭園管理技術をお伝えすることを目指し、庭師によるデモンストレーションを行いました。参加者の方々は10分間の庭園解説を聴いた後、3班に分かれて庭師デモの見学、庭園内の自由散策と呈茶の時間を楽しまれました。

当日はあいにくの雨模様。屋外で行う予定だった松の「葉むしり」作業のデモンストレーションは、アカマツの切枝を用いて洋館内で行いました。

「葉むしり」とは、手作業でマツの古葉をむしり取って樹木の姿をすっきりとさせる作業で、秋から冬(特に年末まで)にかけて行われます。当日の無鄰菴では、クロマツは全て葉むしりの作業が終わり、アカマツはまだ1本も着手していない状態でした。

通訳のマイケルさんから「葉むしり」作業の簡単な説明の後、無鄰菴担当庭師の出口さんが幅50~60cm程度の切枝を用いてデモンストレーションを行いました。

葉むしりの作業では、葉をむしる手作業に入る前に、仕上りの透け感をイメージして不要な枝にハサミを入れます。複数の小枝が重なりあって重い印象だった枝は、ハサミを入れただけであっという間にすっきりしました。さらに手作業で葉をむしっていきますが、ものの数分で作業は終わります。あっという間に、ずっしりしていた枝が軽やかに変わり、一部の参加者にとっては物足りないぐらいだったようです。

中国、韓国からお1人ずつが、手作業で松の葉をむしる作業を体験されました。

参加者の方々からは、作業に要する時間や、他の樹種でも類似のお手入れを行うのか、という疑問、また流行による変化の有無等、多くのご質問をいただきました。
韓国からお越しの方々は、韓国では風通しを良くするために樹木の枝を抜く作業はあるものの、葉むしりほどの繊細な作業はない、と驚かれていました。

各国の専門家の方々の視点でのご指摘やご質問は、東アジア文化圏における日本庭園の独自性を改めて認識する機会となり、私たちにとっても良い刺激となりました。

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