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夏「苔の手入れ:静寂な苔とその癒し」

2019年7月13日(土)
真夏間近の無鄰菴庭園は今日も元気です。今の時期、庭園内の苔たちはその美しさを醸し出しています。

三段の滝から母屋方向を望んだ風景

(三段の滝から母屋方向を望んだ風景)

それぞれの箇所に条件の合った苔が生えています。地面、石の上、木の根元、水際が好きなものなどそれぞれ。
銅成分が多い場所にはホンモンジゴケ、半日陰部分ではオオスギゴケやハイゴケが生育し、薄暗い場所ではシラガゴケの種類、水際の岩周辺ではコツボゴケやサワゴケなどがすみ分けをしています。シラガゴケはスギ・ヒノキの根元がお気に入りの様です。

ホンモンジゴケ

(ホンモンジゴケ)

オオスギゴケ

(オオスギゴケ)

シラガゴケ

(シラガゴケ)

お庭の遠景として撮影した景色は緑が生えて自然の芸術的な景観が楽しめます。ズームにして撮影すると、また違った苔の顔が見られます。

ハイゴケと雫

(ハイゴケと雫)

サワゴケの一種と水玉

(サワゴケの一種と水玉)

担当庭師に話を聞いてみましょう。
「苔の景色を楽しむには、雨上がりの翌日や小雨が降っている時、曇りの日。これらの日は湿気が多く、苔たちにとっては元気になれる日でもあります。そうした緑に癒されながら仕事しています。」
なるほど。手入れについてはどうでしょうか。
「苔は根をあまり深く地に張らないので、スギゴケの中に入り込んだハイゴケがスッと取り除ける感覚がとても興味深いです。」

ハイゴケの除去作業中

(ハイゴケの除去作業中)

手作業なのですね。苔の修復の方法についてはどうでしょう。
「傷んだ個所にヤマゴケの種類を植えています。他の苔に比べて丈夫なため、地面が見えてしまった部分や、傷んだ箇所を埋めるのに使用しています。その後は自然の力で回りと溶け込んでいくようになります。」とのこと。そして時期が少し違うだけでも苔の絨毯の模様が変わるそうです。

作業を見ていると、とても細やかに苔の世話をされているのが分かりました。枯葉で影ができると苔は光合成ができないので、日が当たるように毎日落ち葉の取り除き作業。そして、葉の隙間に入り込んだ細かな小石や落ち葉の破片は、ほうきの毛先でソフトに掃い、苔の葉先が傷まないようデリケートにお手入れをします。

苔の状態を確認しながらのお手入れの様子

(苔の状態を確認しながらのお手入れの様子)

ほうきの毛先で掃うように丁寧に行います

(ほうきの毛先で掃うように丁寧に行います)

無鄰菴の苔たちは庭師さんのケアによって生育しています。そんな苔たちの姿を是非楽しみませんか?緑色に彩られた苔のお庭を瀬落ちの音とともに清涼を感じ取りながらお庭を巡っていただければと思います。

三段の滝へ続く園路の風景

(三段の滝へ続く園路の風景)

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