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2018年 2-3月号

さらさら通信 2018年 2-3月号

かつてこの無鄰菴を建てた山縣有朋は「苔の青みたる中に名もしらぬ草の花の咲出たるもめつらし」と詠みました。言ってしまえば雑草とも呼べる野の花を、摘み取ることなくその自然の有り様のまま有朋が愛でていたことが園内の石碑の言葉から読み取れます。無鄰菴ではそれに基づき、主に庭園の中央の芝地の中で野花を味わえるように約50種類を育成管理しています。寒さ真っ盛りの時期から3月まで、庭師が手でひとつひとつ残すべき芽とそうでないものをより分けていきます。気の遠くなる仕事ですが、ゴールデンウィークの頃には写真のような情景が現れます。春まだ浅いこの時期には満開の花を想って、芝地で黙々と仕事をする姿が見えることでしょう。

2018年 2-3月号

庭師のまなざし

明治のお庭の大きな特徴は「流れ」があることです。どの象徴的な水の使い方に加え、まるで小川のように豊かなせせらぎを響かせる流れ。無鄰菴の庭ではどこにいても水音が心地よく響いてきます。また、音にはいろいろな表情があります。母屋の中から聞く音と、庭の中に立って聞く音では趣が全く異なります。それもすべて意識的に配置された瀬落ちのなせる技。サウンドデザインがされているのです。そんな流れには鳥や魚が集ってきます。池底の掃除も楽しくなる季節です。

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