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外国人研修生の受け入れ

2024年4月22日、無鄰菴の指定管理者である植彌加藤造園による外国人向け実地研修が行われました。この研修は5日間のプログラムで、無鄰菴を訪れたのは2日目です。初日に実施された日本庭園における周辺環境を取り込む空間性と、庭園管理の重要性に関する講義に基づいて、庭園管理の実地研修が実施されました。

参加者はイギリス、アメリカからのお二人。無鄰菴の歴史的背景や琵琶湖疏水から引いた水の流れ、東山の借景といった特徴から、その空間をどのように形作っているかという管理面のポイントまで、じっくりと時間をかけて見学しました。

庭園見学

 その後、庭園管理で使用する道具の説明があり、足袋に履き替えていざ管理実習へ。

道具の説明

今回の研修は「京都の環境と日本庭園」をテーマとして、京都で培われた庭園の美意識を共有することが目標とされていました。滝の周辺では、施主・山縣有朋の指示によって滝の周辺に意図的にシダが植栽されていることをふまえ、どの程度シダを残すのが「自然らしく」仕上がるのか、吟味しながら「無作為の作意」を学びます。

滝周辺のシダのお手入れ

「無作為の作意」とは庭師の心得のひとつで、さも人が手を入れていないかのように、まるで自然のままであるかのように見せる庭園管理上の意図を指します。誰も手を入れていない自然のままの姿にように見えるけれど、実際にはきめ細やかな管理が行われている。無鄰菴では、庭園の本質的価値をふまえて、この心得を実践することができました。

滝周辺の植栽整理の後、この時期ならではのお手入れである「松の芽摘み」も少しだけ体験しました。この作業が京都特有のお手入れであること、すっきりとコンパクトな姿を保つための作業であることを説明し、無鄰菴でこの春最初の松の芽摘みにかかります。短時間で黒松1本の芽摘みを終え、参加者は摘み終えた松とまだ作業されていない芽が伸びた松と比較して、作業後の松が美しい姿であることを実感されていました。

植彌加藤造園は、海外で日本庭園に携わる職人の方々に技術を伝えることを目的として、今後も年に1回の研修を実施する予定です。詳細は植彌加藤造園のWebサイトをご覧ください。
※英語ページにのみ情報を掲載しています。ご了承下さい。

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