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庭師は日本の美の先生!その目線をどう伝えてきたか。

今回は、2027年度からの耐震工事を前に、これまでの約10年間で、無鄰菴がどのような方法で庭師の目線や技術を皆さまにお伝えしてきたかを振り返ります。

庭師の技術は、地方ごとや庭園ごとに異なるものです。伝統的な技術では間々あることですが、職人の経験や個性によっても違いが生まれ、それ自体が価値になるため標準化することが難しいものです。

しかし!その状況に甘んじていれば「味がある」とか「美しい」といった、ぼんやりとした表現で頭打ち。はじめてその世界に触れる人に、魅力を伝えることはできません。結果、興味を持つ人が減り、そのジャンルは衰退、消滅の道を歩みます。

無鄰菴では、初めて日本庭園に触れる方でも「感動をご自分の言葉で他の方に伝えられるか?」を基準にイベントやガイドを通じて庭師の目線や技術をお伝えしてきました。

中でも、2017年7月初回の『職人目線で庭園スタディー』は、その嚆矢。当初は『庭師と学ぶフォスタリング・スタディーズ』の名称で、年5回にわたり無鄰菴担当庭師の出口健太さんがメイン講師となり、日本庭園の手入れを通じて魅力をお伝えしてきました(以下:スタディーズ)。現在は、参加者の方の知識量やスキルがアップしてきたことを受けて、無鄰菴を中心としながらも、より総合的に南禅寺界隈全体を対象としたガイドと無鄰菴でのお手入れ体験を組み合わせた内容にバージョンアップしています。

このような技術を伝えるためのイベントで重要な点は2点あります。①体系的なテーマ設定と、②講座と実習の組み合わせ、です。

①体系的なテーマ設定

スタディーズを例にとると、そのテーマ設定は大きく分けて2領域があります。ひとつは文化財指定理由に密接な要素を対象にしたもの、もうひとつは季節のお手入れを対象にしたもの、です。

前者では明るい芝生空間にある「野花」(2018年3月実施)、あるいは琵琶湖疏水の流れに注目した「水は庭の命」(2021年8月実施)など。

後者では春と秋の「松」の剪定、お正月前の「竹」の扱いなど。

このようにテーマ設定をすることで、前後にどのような文脈が広がっているのかを理解していただいたうえでイベントに臨んでいただくことができ、結果として体験後は体験前よりもさらに日本庭園に興味を増していただくことにつながります。

②講座と実習の組み合わせ

庭師が講師となるにあたり、参加者の方々と一緒にお庭でお手入れをすることは重要です。ただし、ただ単に手を動かすだけでは、イベント後に何をしたのかを参加者ご自身で他の方に伝えるためには、改めて自力で言語化する必要が生じます。

そこで、無鄰菴のイベントではこのプロセスをスムーズにするために、体験前に今回取り組むお手入れが、空間構成においてどのような意味を持っているのか、あるいはベースにどのような基礎的な技術があるのかの体系を、資料を用いてご説明した後に、体験していただいてきました。

これにより、お手入れの体験中から庭師と参加者のみなさんは共通言語でのやり取りが可能になり、終了後にご家族やお友達に体験したことをありありと伝えていただくことが可能になります。体験を他の方にお伝えいただくことは、参加者ご自身の充実感にもつながることだと捉えています。

スタディーズで開発した方法は、スタッフが苔の観察会と苔庭造りを通じて庭園の生物多様性をお伝えするイベントや、ミニ講座を組み込んだ茶会、そしてガイド付きのライトアップなど、多くの無鄰菴の企画に反映してきました。

2027年度からしばらく母屋や茶室などの建物は利用できなくなりますが、耐震工事の期間をチャンスととらえて、これからも無鄰菴は皆さまに日本庭園と庭師の技術、そしてそれらに密接な多様な日本文化をわかり易くお伝えする方法を開発していきます!

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