さらさらとは。無鄰菴の施主 山縣有朋が詠んだ歌「さらくと木がくれつたひゆく水の流れの末に魚のとぶみゆ」にちなんでいます。
無鄰菴を途切れることなく流れるせせらぎのように、ここでの出会いが庭園を未来に育む流れとなりますように、名づけました。
夏真っ盛りの様子を見せているお庭ですが、今回は園路ぎわの手入れについてお話しします。庭の景色にはレイヤーがあり、目線を上げて遠くを見るときに目に入る外周の樹木や借景などの遠景、庭の中全体を見渡す時の中景、そして歩いている園路の近くに目を落とした時の近景に、大きくは分けられます。
園路ぎわの手入れは、この近景の処理にあたります。人間は空間の清潔感を足元から感じとることが多いので、足元の乱れは、たとえ目立たなくても印象に強く残ります。手入れもその分、園路ぎわは丁寧に行います。ロープ柵を越えて、苔の中に飛び散った砂利などは大変美観を損なうものですので、見つけ次第撤去します。また苔の上に落ちた葉も、日当たりを阻んで悪影響を与えますので、毎朝掃除します。無鄰菴は歩くごとに景色が変化し、ひらけたのどかな里山から急峻な滝の景色までが物語として楽しめます。
この流れを壊さないよう、美しい足元の園路が全体の印象を支えていると言えましょう。
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